お役立ちガイド
経営者に資格は必要なのか
会社の経営者にとって、資格は必ずしも必要ではありません。
経営者となる上で必ず取らなければならない資格はありませんが、特定の業界や分野においては、特定の資格を持つことが業務遂行や法的要件の観点から必要とされる場合があります。
また、経営者自らが資格を持っていることで信頼性や専門性を高めることができる場合もあります。
特に創業初期の実績がない段階や、会社の専門性をアピールすることが求められるような事業を展開する際は、手間を惜しまずに経営者自らが資格を取得しておくことで、会社経営をよりスムーズかつ確実に進められるようになるでしょう。
会社経営者が資格を取得するメリット
資格必須の事業展開ができる
特定の資格を持つことで、その資格が必須となっている事業分野において事業展開が可能になります。
例えば、不動産仲介業は宅建免許が必要など、特定の業種で必要とされる許認可や免許を取得することで、事業の幅を広げることができます。
客観的な説得力をつけられる
資格を取得することで、その分野における専門知識やスキルを身につけることができます。
これにより、経営者としての意思決定や社外への事業説明、資金調達などにおける外部との交渉の場で、客観的かつ専門的な説得力を持つことができます。
特に創業初期の売上が出ていない段階においては、投資家が経営者自身や会社を評価するための指標がもてないため、専門の資格を持っているという事実はかなりポジティブに作用する場合が多くあります。
専門家の採用対応がスムーズになる
資格を持つことで、その分野における専門家や同じ資格をもっている人材の採用や育成が、より的確かつスムーズにできるようになります。
専門資格の場合は、取得している人を雇用すれば、会社経営における足りない知識をカバーすることはできますが、経営者自身がある程度の知識を持ち合わせていないと、適切な判断や指示ができない可能性が高まります。
雇用した専門家とのコミュニケーションや指導を円滑に行ったり、的確な業務指示ができるように、共通言語として資格を取得しておくというのは有効です。
会社経営に必要なスキル
先見性
経営者には将来のビジョンを見据え、業界の動向や市場の変化を予測する能力が必要です。
また市況を受けて次に会社はどうすればいいのか、どんな事業展開をすると更なる成長を見込めるかを考え行動に移す必要もあります。
決断力
経営者には、複雑な状況や情報の中から迅速かつ正確な判断を下す能力が求められます。
場合によっては、正解がない問題に対して、素早く決断することも必要です。
決断を下した結果、上手く物事が進まなかった際にも、いかに適切なタイミングで方針転換をすべきかという判断も求められることから、決断力を発揮する機会は多く、会社経営の肝となる要素といえます。
論理的思考力
複雑な問題を論理的に分析し、解決策を導く能力が必要です。
客観的な視点から問題を捉え、適切な判断を下すことが重要です。
対応力
会社経営をしていると、社内外の環境変化に対して臨機応変な対応をする機会が多くあります。
する環境や予期せぬ問題に対応する能力が求められます。
柔軟性を持ち、状況の変化やトラブルなどに対して素早く対応することが重要です。
影響力
会社経営において、経営者の影響力は欠かせないものです。
社会の課題解決をするにあたり、会社や経営者自身を対外的にアピールしたり、会社の成長を実現するために社員からの支持を得たり、社内外に影響力を発揮する必要があります。
経営者自身がどうありたいかを考えることも重要ですが、それ以上に、社内外からどのように思われてどのような印象・影響を与えるべきなのかを意識することが重要です。
会社経営に必要な知識
経営戦略
経営者はビジネスや会社の方向性や目標を設定し、その達成方法を計画する能力が必要です。
競合分析や市場調査などを通じて、戦略を立てることが重要です。
会計/財務
財務状況や資金の適切な管理を行うための知識が必要です。
会計や財務に関する基本的な理解を持ち、企業の健全な経営を行うことが重要です。
このような財務に関しては、CFOなどの専門家を雇用することでまかなえるものではありますが、知識なしで会社の財務状況を正確に理解することは難しいため、一定程度の知識を身につけておくことを推奨します。
組織・人材マネジメント
経営者には事業の推進だけでなく、組織の運営や人材の育成・管理を行うための人的マネジメント能力も必要です。
リーダーシップやコーチング能力を身につけて、組織全体や従業員個人のパフォーマンスを向上させることが重要です。
マーケティング
顧客ニーズや市場動向を理解し、それに基づいた製品やサービスの適切な届け方を考え実行するための知識が必要です。
特に創業初期には、マーケティングに強い人材を採用することなく、経営者や創業メンバーだけで事業を回す必要もあるでしょう。
これから推進したい事業が市場に対してどのように作用するか、確実な検証を行う上でもマーケティングの知識やスキルは重要です。
経営者が取得すべき資格
MBA
MBAは経営管理修士(Master of Business Administration)の略で、ビジネス管理の高度な知識やスキルを身につけるための学位です。
経営学の博士号とも称されるように、経営者としてのキャリアアップやビジネスの理論と実践の両方を習得するために有用です。
大きな影響力をもつ一方で、MBAの取得は非常にハードルが高いものです。
取得するためには大学院に進学し、原則2年間の勉強が必要となります。
多くの人は働きながら終業後や休日を利用して、MBAの取得をしているなど、かなりの苦労を要するでしょう。
FP
FPはファイナンシャルプランナーの略で、個人や法人の財務計画を立案する能力を持つことを証明できる資格です。
経営者に関わらず、保険業や不動産業など幅広い業種で活用できるため、資格取得者は比較的多い資格となります。
経営者がにおいては、会社の財務状況や自身の資産管理を行う上で役立ちます。
経営に役立つのはFP何級?
FPは、1級や2級などの段階的な資格です。
経営者にとっては、原則FP2級以上の取得が推奨されています。
一方で1級の取得は難易度が高く、試験範囲は経営に関わらず幅広いものとなるため、まずは2級の取得を試みて、余力があれば1級に挑戦してみるという程度で良いでしょう。
簿記
会計処理や財務報告に関する基本的な知識を身につけることができる資格です。
経営者が企業の財務状況を把握し、経営判断を行う上で重要なスキルを証明できます。
FP同様に財務的な資格となりますが、簿記はより処理能力に寄ったスキルが得られる資格です。
中小企業診断士
中小企業診断士は、主に中小企業の経営支援やコンサルティングを行うための資格で、経営者が経営戦略や業績改善などのコンサルティング業務を行う際に役立ちます。
経営者自身が取得しているケースはさほど多くないですが、経営に関する普遍的な知識を身につける上では、取得してみる価値がある資格と言えるでしょう。
企業の課題を的確に把握し、解決策を提案する能力が得られます。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定とは、ビジネスにおける法務知識を評価する資格で、東京商工会議所が主催しています。
契約書の作成や法的リスク管理などの法務業務に必要なスキルを身につけることができます。
経営者が企業の法的リスクを最小限に抑え、安定した経営を行うために役立ちます。
ビジネスに特化した資格であることから、資格取得にあたって勉強する内容も活用機会をビジネスに限定したものであるため、忙しい経営者でも取得を試みるべき資格です。
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、市場動向や顧客ニーズを把握し、マーケティング戦略を立案する能力を身につけることができる資格です。
経営者が競争力のある製品やサービスを提供し、顧客満足度を向上させるために役立ちます。
取得は比較的簡単で、合格率はおよそ70%。
約15時間ほどの勉強で試験に挑むことができます。
基本的な知識のインプットを兼ねて手軽に受験できるでしょう。
税理士
税理士資格は、税金や税務申告に関する専門知識を持つことができる資格で、経営者は税務計画や節税対策などを行い、企業の財務戦略を最適化できます。
法的な税務コンプライアンスを確保し、企業の信頼性を高める役割も担います。
ただし取得が非常に難しい資格であり、実務もしくは専門学校の修了、前述の日商簿記1級の取得しているなど、下地がある状態でもおよそ2年ほど要します。
公認会計士
公認会計士は、企業の財務報告や監査業務に関する専門知識を持つことができる資格で、経営者は会計監査や財務報告書の作成などを行い、企業の財務の信頼性を高めることができます。
こちらも取得が非常に難しく、合格率はおよそ8%ほど。
取得に必要な勉強時間は3,000時間とも言われているため、よほど関心が高いか、大学等で会計に関する勉強をしてきている状態の経営者のみ取得を試みるべきでしょう。
まとめ
今回は、経営者が取得すべき資格についてご紹介しました。
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