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作成日:2023年10月25日  更新日:2024年07月27日

事業売却とは?手続きの流れと高値で売却を実現する方法を解説!


企業戦略や事業継承など様々な目的を持って行われる事業売却。

今回は、事業売却とは何か、手続きの内容や高値で売却を実現するための方法を解説します。

事業売却とは?

事業売却とは、企業が自身の事業部門や子会社などを他の企業や個人に売却することです。

これは経営方針の変更や社内の事業を再編成、資金調達の手段など、さまざまな理由で行われます。

会社売却との違い

事業売却の一つの手段に会社売却があります。

事業売却は、企業の特定の部門や事業を売却することに留まりますが、会社売却は企業そのものを売却することを指します。

会社売却には企業全体の資産と負債が関与するなど、事業売却よりも複雑な法的および財務的手続きが必要です。

事業売却の方法は2種類

事業売却には一般的に2つの主要な方法があります。それらは次のとおりです。

株式譲渡

株式譲渡は、事業を所有する企業の株式を他の企業や個人に売却する方法です。これにより、新しい所有者は事業の株式を取得し、事業の管理権を得ることができます。株式譲渡は、事業の経営権や資産を引き継ぐ手段として一般的に使用されます。

事業譲渡

事業譲渡は、特定の事業部門や事業単位を他の企業や個人に譲渡する方法です。この場合、株式の譲渡ではなく、具体的な事業の譲渡が行われます。

事業譲渡には、特定の資産、顧客、契約などが含まれることが一般的です。事業譲渡は、事業の再構築や特定の事業の売却に適しています。

事業売却(売り手側)のメリット

売却による収益が得られる

事業売却を通じて、企業は事業部門や資産を売却することにより、重要な資金調達の機会を得ることができます。これにより、新たなプロジェクトや事業への投資、借金の返済、株主への配当支払いなどが実現します。

事業運営から離れ新しいことにチャレンジできる

事業売却によって事業を手放すことで、前所有者は事業運営から離れ、新たな事業やプロジェクトに専念できるリソースが生まれます。これは新たな挑戦やキャリアの展開を望む会社にとって魅力的な選択肢となります。

会社や従業員を手放す必要がない

事業売却は、会社を完全に手放す必要がないため、事業の一部や特定の資産を売却しながら、会社全体を維持することが可能です。これにより、従業員の安定性やビジョンの継続性を確保できます。

事業売却のデメリット(売り手側)

売却の手続きに時間と手間がかかる

事業売却は、交渉、法的手続き、デューデリジェンス(事業評価)、契約の取り決めなど、複雑なプロセスを伴います。これには時間と労力がかかるため、慎重な計画とリソースが必要です。

売却益に対して税金がかかる

売却から得られる利益は、一般に課税対象となります。税法や地域によって異なりますが、売却益に対する所得税やキャピタルゲイン税がかかることがあります。これを考慮して事前に計画を立てる必要があります。

売却後の事業に制約が発生する可能性がある

事業売却契約には、売却後の事業に関する制約や条件が含まれることがあります。制約の例としては、売却した事業と同領域の事業展開が一定期間制限されるなどが挙げられます。
契約内容を注意深く検討することが重要です。

事業売却(買い手側)のメリット

市場シェアの拡大

既存の事業を買収することで、短期間で市場シェアを拡大することができます。

新しい市場や顧客層に迅速にアクセスできるため、事業の成長を加速させることが可能です。

特に競争の激しい業界では、買収を通じて競合他社を圧倒する力を持つことができます。

人材の獲得

買収先の人材を雇用する場合は、社内に新たな優秀な人材を確保することができます。

これにより、自社の人材不足を補い、組織力を強化することが可能です。

特に、専門知識や経験豊富な人材が移籍することで、事業運営の効率化や新たなイノベーションが期待されます。

事業ポートフォリオの多様化

事業の多様化を図ることで、単一事業が抱えるリスクを分散することができます。

異なる業界や市場に参入することで、一つの事業が不調になっても他の事業で補うことが可能となり、全体の経営安定性が向上します。

事業売却(買い手側)のデメリット

交渉・手続きに時間と労力を要する

事業売却には交渉や手続きが伴い、それに多くの時間と労力が必要です。

買収を円滑に進めるためには、専門家の助言や適切な計画が不可欠です。

デューデリジェンスや買収先へのヒヤリングなどを行い、法的・財務的なリスクを把握することが求められます。

また、買収後の統合プロセス(PMI: Post Merger Integration)も重要であり、計画的な対応が必要です。

購入価格に対して税金(消費税)がかかる

事業買収には購入価格に対して消費税がかかるため、買い手側には税金の負担も考慮する必要があります。

事前に税理士や社内の財務部門などに連携し、決算等も見据えた買収をしましょう。

売却額がつきやすい事業の特徴

すでに一定の利益が出ている

すでに一定の利益が出ている事業は、売却額がつきやすいことがほとんどです。

事業を買う側にとっては、事業譲渡によって多額の投資をすることとなります。

その際に、どのくらいのスパンで売上を創出し投資金が回収できるか、という点は非常に重要な指標となります。

そのため既に利益が出ている事業は、買い手にとって魅力的な投資対象となります。

将来の収益予測がたてやすい

売却額がつきやすい事業の特徴のもう一つは、将来の収益予測が立てやすいことです。

特に月額・年額制のいわゆるサブスクリプション系事業は、顧客数に比例して売上が創出できるため、長期的な収益予測が立てやすく安定性も高いため、売却価格がつきやすくなります。

事業に独自性がある

売却額がつきやすい事業の特徴として、独自性があることが挙げられます。

独自の技術や製品、サービス、ブランドなどを持つ事業は、他社との差別化が図れます。

そのため同業他社に対してコンペをかけるなどすれば、市場での競争力も相まって売却価格が高くなる可能性が高いです。

売却額がつきにくい事業の特徴

負債がある

売却額がつきにくい事業の特徴の一つは、負債があることです。

売上が出ていても、既存の借入があったり設備投資金が回収できていないなどすれば、買い手にとってリスクが高いと見なされる場合があります。

そのため、負債が多い事業は売却価格が低くなる傾向があります。

財務・法務の管理状況が安定していない

売却額がつきにくい事業の特徴のもう一つは、財務・法務の管理状況が安定していないことです。

買い手は、財務状況や法的リスクに関する情報を正確に把握した上で投資を行います。

財務や法務の管理が不安定な場合、事業譲渡後に予見していなかったトラブルが発生する買い手の信頼を得ることが難しく、売却価格が低くなる可能性があります。

事業売却までの手続きの流れ

売却先の選定

最初のステップは、事業を売却する相手を選定することです。売却先は、買収者の信頼性、資金力、事業戦略との適合性などを考慮して選ばれます。適切な買収者を見つけることが成功の鍵です。

条件交渉

売却の条件を交渉する段階です。価格、支払いスケジュール、資産の譲渡条件、非競合条項などが交渉されます。交渉には法的および財務アドバイザーの支援が不可欠です。

デューデリジェンス

デューデリジェンスは、買収者が事業を評価するプロセスです。財務、法的、税務、環境などの側面が調査され、事業の実態が明らかにされます。売主は必要な文書や情報を提供し、買主はリスクを評価します。

事業譲渡契約書の締結

売却条件が合意されたら、事業譲渡契約書が締結されます。この契約書には売却の詳細条件、買収価格、クロージング(取引の完了)のスケジュールなどが含まれます。契約書は法的な文書であり、専門家のアドバイスを受けながら作成されます。

事業の移転手続き

売却後、事業の移転手続きが行われます。これには資産の譲渡、従業員の移行、設備の引き継ぎなどが含まれます。スムーズな移転プロセスを確保するために、計画と調整が必要です。

各種届出や許認可の取得

事業売却には、地域や業界に応じて必要な各種届出や許認可がある場合があります。これらの手続きを遵守することが重要であり、売却前に確認する必要があります。

事業売却プロセスは慎重に計画し、専門家のアドバイスを受けながら進めることが成功の鍵となります。

事業売却にかかる税金の一覧と金額

所得税

売却益は所得税の対象となります。売却益額に応じて所得税が課され、税率は地域や所得によって異なります。

キャピタルゲイン税

売却益が資産の譲渡に関連する場合、キャピタルゲイン税が課されることがあります。これは一般的に長期保有資産と短期保有資産に異なる税率が適用されます。

法人税

売却する事業が法人である場合、法人税が売却益に対して課されることがあります。法人税率は地域によって異なります。

不動産取得税

売却に不動産が含まれる場合、不動産取得税がかかることがあります。この税金は不動産の取得価格に基づいて計算されます。

印紙税

売却契約書や法的文書に印紙税が課せられることがあります。契約書の内容や金額に応じて税率が異なります。

付加価値税(VAT)

一部の国や地域では、事業売却に対して付加価値税が課されることがあります。売却対象や法的要件によって異なります。

地方税

地域によっては、所得税や不動産税などの地方税が売却に関連して発生することがあります。地方税率は地域によって異なります。

事業売却における税金は複雑で、具体的な金額や税法は地域や国によって異なります。売却前に税務アドバイザーと協力し、適切な計画を立てることをおすすめします。

事業売却を行う上での注意点

既存の従業員の納得を得ておく

事業売却を行う際には、既存の従業員の納得を得ることが重要です。

その事業に関わっている従業員は、売却によって雇用関係や所属が変化することもあるでしょう。

変化に不安や懸念を抱く場合があります。そのため、売却計画を事前に従業員に説明し、彼らの意見や感情に耳を傾けることが必要です。

一方で会社や事業規模によっては、事前の通達が難しい場合もあるでしょう。

その際は、譲渡後の従業員の境遇について、社内や買い手側と綿密に調整し、納得感が得られる状態を用意しておくことが重要です。

事前に税理士・司法書士に相談する

事業売却を行う際には、事前に税理士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。

特に事業売却によって発生する税金に関しては、譲渡の形態や売却金額などによって、金額や種類が大きく変化する可能性があります。

高値で売却しても税金によって、想定していた利益が出なかったというような問題が起こらないよう、税理士への連携・相談は早めに行いましょう。

事業売却に困ったら

社外顧問等への相談

事業売却に関するアドバイスや戦略を提供する社外顧問やコンサルタントに相談することも有効です。売却先の選定や、売却プロセスを効果的に進めるためのアドバイスを受けられます。

税理士への相談

事業売却に伴う税務計画や課題は複雑であり、税理士のアドバイスを受けることが重要です。税理士は税金に関する専門知識を持っており、最適な税務戦略を立案し、税金の最適化を支援します。

セミナー参加

事業売却に関するセミナーやワークショップに参加することも有益です。特に過去に事業売却を行った会社の事例や、売却の支援実績があるコンサルタントや税理士からの実体験を元に、事業売却に必要な知識を得ることができるでしょう。

また、セミナーでは、事業売却を検討中の他社との交流機会も設けられているケースもあり、人脈構築にも役立ちます。
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まとめ

今回は、事業売却について解説しました。

本サイトでは、経営に関わる様々なお悩みに対する情報をご紹介しています。こちらからご覧ください。

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