お役立ちガイド

「煩雑な電話応対を自動化したい」
「問い合わせが多すぎて人手が足りない」
カスタマーサポート担当者の方の中には、こうしたお悩みを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
IVR(電話自動音声応答システム)は、電話応対を自動化してくれる便利な存在です。
各社からさまざまなサービスが展開されている中で、自社にぴったりなIVRを見つける際には、どういった点を意識すべきなのでしょうか。
本記事では、IVRの種類や選び方などを徹底解説します。
おすすめのIVRランキングも紹介するので、IVR選びの際はぜひ参考にしてください。
IVR(電話自動音声応答システム)とは?
IVRとは、企業にかかってきた電話に自動で対応することができるシステムです。
日本語では「電話自動音声応答システム」とも呼びます。
IVRをうまく導入すれば、顧客対応の効率化と顧客満足度の向上を両立することが可能です。
最近では、AIによる自然言語処理技術を活用したIVRを導入する企業も増えてきています。
かかってきた電話に自動で応対するシステム
IVR(Interactive Voice Response)とは、電話がかかってきたときに自動で音声応答するシステムです。
顧客が電話をかけると、あらかじめ録音しておいた音声ガイダンスが流れ、プッシュボタン操作によって適切な部署や担当者に取り次ぐ仕組みになっています。
最近では、ほとんどのコールセンターがこのシステムを導入しています。
企業に電話をかけた際に、「お問い合わせの内容によって番号を押してください」といった音声案内を聞いたことがある方も多いでしょう。
こうした音声案内も、IVRを活用した顧客対応の一例です。
最近はオンプレミス型よりクラウド型の方が安くて人気
IVRには、自社内にサーバーを設置する「オンプレミス型」と、クラウド上のサービスを利用する「クラウド型」があります。
かつてはオンプレミス型が主流でしたが、矢野経済研究所の「コンタクトセンターシステム市場に関する調査」によると、近年は手軽に導入できるクラウド型が人気を集めています。
クラウド型が人気な理由は、オンプレミス型よりも初期投資が少なく、導入のハードルが低いからです。オンプレミス型とクラウド型の違いを比較すると、以下のようになります。
オンプレミス型 | クラウド型 | |
---|---|---|
導入コスト | 300,000円〜 | 0円〜150,000円 |
月額費用 | 30,000円〜500,000円 | 2,000円〜50,000円 |
カスタマイズ性 | 高い | 低い |
保守 | 自社で行う | ベンダーが行う |
運用 | 専門知識が必要 | メンテナンスが容易 |
おすすめな企業 | 大企業 | 中小企業 |
最近では少しずつ中小企業や個人事業主にもIVRの導入が広がりつつあります。
手軽に導入できるクラウド型は、今後もますます人気になるでしょう。
IVRと似たシステムにAI自動電話応答システムもある
IVRに似たシステムとして、AI自動電話応答システムがあります。
従来のIVRはプッシュボタン操作によって応対していましたが、AI自動電話応答システムはAIが自動で音声を認識して顧客対応を行う点が特徴です。
例えば顧客が「料金について知りたい」と話した場合、AIが自動で商品の料金などを読み上げます。
たとえば、以下のようなサービスが人気です。
- Amazon Connect(Amazon)
- Contact Center as a Service (Google)
AI自動電話応答システムを用いれば、IVRよりも自然な会話が実現できます。
ただし、AIシステムの導入コストはIVRよりも高くなる傾向があるため、自社に音声認識が必要かどうか見極めることが大切です。
中にはIVRyのように、IVRの中の一機能としてAI自動応答を提供しているサービスもあります。
IVR(電話自動音声応答システム)の機能とできること
IVRには、以下のようにさまざまな機能が搭載されています。
- 自動録音メッセージによる応答
- 問い合わせ内容に応じた電話の振り分け
- 留守番電話の自動録音
電話による問い合わせ対応を効率化したい場合には、これらの機能が大いに役立ちます。
中には、あらかじめ登録した相手に自動で電話を発信したり、CRMと連携した個別の顧客対応を行ったりすることができるシステムもあります。
顧客からの電話に自動で録音メッセージを流す
IVRの基本機能の一つが、電話がかかってきたときに自動で録音メッセージを流すことです。
例えば、以下のように自動応答することができます。
- 「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇です。」
- 「ただいま営業時間外です。営業時間は平日9時から18時までとなっております」
無人で対応できるため、休日や営業時間外の対応として活用するケースが多いです。
不在時でも電話を折り返す必要がなくなるので、カスタマーサポート部門の業務効率化につながります。
なお、多くのツールではメッセージ内容を自由にカスタマイズできます。
シーズン特有の応答メッセージや、期間限定キャンペーンの案内などを録音しておくことも可能です。
顧客の回答に応じて発信先を振り分ける
IVRには、顧客の電話内容に応じて、部署や担当者に取り次ぐ機能があります。
「ご注文に関するお問い合わせは1を、サポートに関するお問い合わせは2を……」といった形での案内を受けたことがある方も多いでしょう。
こうした案内を活用することで、電話を取ったカスタマーサポート担当が、逐一担当者を判断する必要がなくなります。
問い合わせの種類が多い場合は、「商品Aの問い合わせは1-1を」「商品Bの問い合わせは1-2を」といったように、多段階の振り分けも可能です。
顧客からの留守番電話を自動録音する
IVRには、営業時間外や担当者が電話に出られない場合、顧客からのメッセージを自動で録音する機能があります。
「担当者が不在のため、お名前とご用件をお願いいたします」といったガイダンスを流した後、顧客のメッセージを録音する形式が一般的です。
録音されたメッセージは、システム上で管理され、後からいつでも再生することができます。
関連して、以下のような機能が搭載されていることも多いです。
- 留守番電話が入った際に担当者へ自動でメールを配信する
- 自動で録音内容を文字起こしする
- AIで録音内容を要約する
BIZTELコールセンターやGenesys Cloud CXといった一部のシステムは、CRMと連携することによって、録音内容と顧客情報を自動で紐づけることもできます。
あらかじめ設定しておいた発信先に自動で架電し音声案内をできる
IVRには着信応答だけでなく、自動発信機能も搭載されています。
あらかじめ設定した相手先に自動で電話をかけ、録音メッセージを流すことが可能です。
例えば、以下のような場面で利用するケースが多いです。
- 予約の確認
- 支払い期限の通知
- アンケート調査
ツールによっては、「明日のご予約の確認のお電話です。キャンセルされる場合は1を、ご予約を変更される場合は2を…」といった形で、顧客からの回答を自動で受け付けることもできます。
IVR(電話自動音声応答システム)を導入するメリット
IVRを導入することで、以下のような多くのメリットを期待できます。
電話応対の効率化 |
|
---|---|
顧客満足度の向上 |
|
電話応対の効率化と顧客満足度の向上という両面において、IVRには大きなメリットがあるのです。
電話応対のオペレーターコストを削減できる
IVRを導入する最大のメリットは、人件費の大幅な削減です。
簡単な問い合わせや情報提供はIVRが自動で対応できるため、オペレーターの人数を減らすことができます。
特に「営業時間の確認」「住所や電話番号の案内」といった定型的な問い合わせは、IVRで完結させやすいです。
電話応対を行う際に必要な費用を試算すると、以下の表のようになります。
IVR(クラウド型) | コールセンターのアウトソーシング | 自社オペレーター | |
初期費用 | 0円〜150,000円 | 50,000円〜 | 数十万円〜 |
月額費用 | 2,000円〜50,000円 | 100,000円〜 | 200,000円〜 |
例えばコールセンターのアウトソーシングを利用すると、一般的にIVRよりも料金が高くなりがちです。
自社オペレーターで対応する場合も、人件費として月額100,000円以上の費用が発生します。
実際、KDDIの試算によると、20名の社員がいる企業では月に134時間、金額にして約290,000円ものコストが電話応対に費やされているそうです。
電話応対のコストを削減するためには、IVRの導入が必要不可欠といえます。
休日にかかってきた電話にも対応できる
IVRは24時間365日稼働するため、休日や夜間の電話にも対応できます。
オペレーターが不在の時間帯にかかってきた電話にも簡単に案内を流せますし、必要に応じてかけ直しを依頼することも可能です。
例えば不動産会社であれば、水曜日が定休日の場合も多いでしょう。
しかし、顧客の中には水曜日に電話をかける人も少なくありません。
こうした業界特有の事情がある場合にも、「木曜以降におかけ直しください」といったような個別の案内が可能です。
また、休日ではありませんが、繁忙期や時間帯によって自動応答を活用することもできます。
例えば飲食店では、ランチタイムの忙しい時間帯にかかってきた電話には、IVRで自動応答するケースも多いです。
休日や忙しい時間帯でも電話に出られるようになるため、「電話がつながらず別の店舗に行ってしまった」といった事態を減らすことができます。
自動応対をすることで応対品質を均一化できる
常に同じ品質で応対できることも、IVRのメリットです。
オペレーターによる対応では、その人の経験や知識、忙しさなどによって、応対品質に差が生じることがあります。
一方、IVRは常に同じ内容で自動応対するため、品質のばらつきがありません。
また、従来のコールセンターの問題として、オペレーターが精神的なストレスを受けることが挙げられます。
オペレーターのストレスは離職を招きますし、応答が感情的になってしまう可能性も否めません。
IVRの自動応答であれば、こうした問題を防ぐことができます。
多言語対応で海外からの問い合わせにも対応できる
最近ではビジネス環境のグローバル化が進んでおり、海外からの問い合わせにも対応する必要があります。
ToBのビジネスではもちろん、ToCでも日本語以外の言語で問い合わせを受ける場面も少なくありません。
IVRは複数の言語に対応できるため、こうした問い合わせにもスムーズに対応することが可能です。
その結果、以下の効果が期待できます。
- グローバルなビジネスチャンスを得ることができる
- 通訳スタッフの採用コストや教育コストを削減できる
- 顧客満足度が向上する
例えば「DXでんわ」では、約40言語に対応した多言語音声を提供しています。
英語や中国語、スペイン語といった複数の言語でサービス提供できるため、企業によってはビジネスチャンスを大きく拡大できるでしょう。
あふれ呼や放棄呼を拾うことができ機会損失を減らせる
顧客からの電話が集中してオペレーターが対応しきれない「あふれ呼」や、顧客が待ちきれずに電話を切ってしまう「放棄呼」が発生している企業もあるかもしれません。
IVRは、こうした問題も効果的に解決できます。
一般的に、コールセンターの平均的な放棄呼率は約8.6%とされています。
1,000件かかってきた電話のうち、実に86件がオペレーターに接続されることなく電話を切ってしまっている計算です。
IVRでは以下のような工夫で、放棄呼やあふれ呼を効果的に防ぐことができます。
- 混雑時に待ち時間を案内する
- よくある質問に自動回答し、オペレーターの負荷を軽減する
- 自動取りつぎでオペレーターへの負荷集中を避ける
なお、放棄呼率は最もコールセンターに重視されているKPIの一つです。
コールセンター白書によると、全国のコールセンターのうち85.9%が、放棄呼率を重要視していると回答しています。
IVRを効果的に運用すれば、顧客対応のKPIを向上させることが可能です。
顧客のカード番号入力時などセキュリティの向上につながる
クレジットカード情報などの機密性が高い情報を電話で扱う場合、IVRを活用することでセキュリティが大幅に向上します。
コールセンターでよくある課題の一つが、「クレジットカード番号をオペレーターに知られたくない」というものです。
IVRを用いると、顧客がボタンプッシュによって直接決済決済情報を入力できるようになります。
取引先からの信頼獲得につながりますし、人為的なミスによる個人情報の流出を防ぐことにもつながるでしょう。
電話での決済をサポートしているIVRには、以下のようなものがあります。
- IVR決済サービス(GMO PAYMENT GATEWAY)
- CyzoPHONE(株式会社NTTデータNJK)
IVR(電話自動音声応答システム)を導入する際の注意点・コスト
IVRには多くのメリットがありますが、反対に以下の注意点があることも事実です。
- 導入には初期費用と手間がかかる
- 応答フローの設計によっては、顧客満足度の低下を招く
- 複雑な問い合わせには人手での対応が必要
IVRを効果的に運用するためには、上記のデメリットを理解したうえで、「なんでも自動化しようとしない」という点がコツです。
自動化と人手での対応をうまく組み合わせることで、費用対効果を最大化することができます。
初期導入費用がかかる
IVRシステムの導入には、一定の初期投資が必要です。
システムの規模や機能によって費用は異なりますが、概ね以下の初期費用を見込んでおきましょう。
- クラウド型……0円〜150,000円
- オンプレミス型……300,000円
代表的なサービスの初期費用を簡単にまとめておきました。
サービス名 | 初期費用 | 月額費用(参考) |
---|---|---|
IVRy | 0円 | 2,980円〜 |
SUBLINE | 0円 | 3,400円〜 |
トビラフォンcloud | 33,000円 | 3,300円〜 |
BIZTEL コールセンター | 200,000円〜 | 81,000円〜 |
VoiceMall | 300,000円〜 | 140,000円〜 |
初期費用を抑えたい場合は、IVRyやSUBLINEといった初期費用が無料のサービスが適しています。
一方、大規模なコールセンターを運営する場合は、BIZTEL コールセンターやVoiceMallなどの高機能なサービスを検討するとよいでしょう。
ちなみに、「SaaSツールはクラウド型なら初期費用はかからない」と考えている方も多いかもしれませんが、IVRはクラウド型でも初期費用が高額になるケースが多いので要注意です。
応答メッセージの録音や振り分けの設定など初期設定が多い
IVRシステムを導入する際には、初期設定に手間がかかりがちです。
例えば、以下のような対応を行う必要があります。
- 応答メッセージの録音
- ボタンプッシュに応じた振り分けルールの設定
- 時間帯や曜日に応じた応対ルールの設定
- 多言語対応やAI自動音声の設定
中にはIVRyのように「最短5分で電話応対を自動化」と謳っているサービスもありますが、高度な設定を行いたい場合には、いずれにしてもある程度複雑な初期設定が必要です。
効率的に初期設定を行うためには、以下の点を意識してみてください。
- あらかじめ現在の顧客の問い合わせ内容を入念に分析する
- 複雑なフロー設計は避け、分岐の選択肢は多くても3〜4つにおさめる
- AI音声を活用して録音の手間を省く
ボタン操作や機械音声などにより顧客満足度が低下する可能性もある
IVRは利便性が高いですが、うまく運用しなければかえって顧客満足度を低下させかねません。
特に以下の要因は、顧客満足度の低下に直結します。
- メニュー構成が複雑で分かりづらい
- 分岐の階層が深く、何回もボタンプッシュが必要
- 機械的な音声の応答が続く
- 待ち時間が長い
例えばボタンプッシュで案内を振り分ける際の選択肢の数は、多くても3〜4つにするべきです。
また、5段階や6段階にも及ぶ階層の深い振り分けは、顧客を待たせる原因になり、利便性が低下します。
こうしたデメリットを避けるためには、できる限りシンプルなフロー設計にすることが重要です。
また、AI応答サービスがあるIVRを導入して、自然な会話で問い合わせができるようにするといった工夫もおすすめです。
顧客の複雑な要望はIVRだけでは解決しづらい
IVRは定型的な問い合わせには効果的ですが、人間のオペレーターの手間をゼロにできるだけではありません。
複雑な問い合わせには対応が難しいため、IVRの導入後もある程度は個別で対応する必要があります。
なお、複雑な要望を無理してIVRで処理しようとするケースも見られますが、これはあまりおすすめできません。
IVRのフローが複雑になりすぎると、人間のオペレーターにつながるまでの時間が長くなり、顧客満足度の低下につながるためです。
IVRによる自動化と人手による対応のバランスを取ることが、IVRの導入を成功させる秘訣です。
IVR(電話自動音声応答システム)を導入した方が良い企業
IVRシステムの導入は、カスタマーサポートや電話対応を効率化したい企業にとって非常に有効な選択肢です。
特に、あふれ呼や放棄呼が増えている企業は、IVRによって顧客満足度を向上させることができます。
また、キャンペーンやリコールなどで一時的な問い合わせの増加が見込まれる企業も、IVRで効率的に電話対応を進めることが可能です。
あふれ呼や放棄呼が増えている企業
オペレーターの人員不足によって、あふれ呼や放棄呼が増えている企業は、IVRを導入すべきです。
例えば、以下のような課題はないでしょうか。
- 昼休みや営業時間終了間際に電話が集中している
- 季節によって問い合わせ数が大きく変動し、対応しきれていない
- リモートワークへの移行で電話対応がうまくいっていない
「電話がつながらない」という状況は、顧客満足度の低下やビジネスチャンスの損失を招きます。
IVRを導入することで、こうした問題を解決することが可能です。
例えばGenesys Cloud CXでは、混雑時に待ち件数を自動で取得し、状況に応じて案内を出し分けることができます。
BIZTEL コールセンターでは、混雑時に折り返し電話の予約を自動で受付することが可能です。
IVRによって顧客をストレスなく待たせることができるようになれば、顧客満足度の向上が期待できます。
テレビCMや期間限定のキャンペーンを打ち出したい企業
IVRを活用することで、一時的な問い合わせの増加にも効率的に対応できます。
テレビCMや期間限定のキャンペーンを打ち出したい企業は、IVRを活用した自動対応を検討しましょう。
IVR導入によるキャンペーン対応のメリットは、以下の通りです。
- 営業時間外の問い合わせにも対応できる
- 負荷を分散しながらスムーズに対応できる
- キャンペーン専用の着信番号を開設できる
- キャンペーンごとに着信数や問い合わせ状況を分析できる
特にテレビCMを放映した場合、通常の10倍以上の着信が集中するケースも珍しくありません。
あらかじめIVRで混雑時の対応を設定し、負荷の上昇に備えることが大切です。
リコールなど一時的に顧客からの問い合わせが増えることが予想できる企業
製品のリコールや障害発生時には、突発的な問い合わせの増加が見込まれます。
IVRは、このような緊急事態にも効率的に対応することが可能です。
例えば、以下のようにしてIVRをリコール対応に活用できます。
- リコールに関する最新情報をIVRで自動配信する
- 対応優先度に基づいて、問い合わせを自動で振り分ける
- 24時間対応によって顧客の不安を軽減する
また、AI応答システムを搭載したサービスには、顧客がシリアル番号や製品名を口頭で伝えるだけで、対象製品かどうかを自動判別するといった活用法もあります。
一時的な問い合わせの増加が見込まれる場合は、IVRを積極的に活用しましょう。
各社のIVR(電話自動音声応答システム)を比較する際のポイント
IVRにはさまざまなものがありますが、機能やサポートの充実度は千差万別です。
自社にぴったりなIVRを選ぶためには、以下の点を意識してみてください。
- 機能が自社にとって必要十分か
- 自動音声の収録や作成のサポートがあるか
- 同時に処理できる架電の数はいくつか
- AI応答システムは必要か
既存の自社の電話応対フローを見直した上で、自社に必要な機能要件を洗い出すことが重要です。
自社の用途に対して適切な機能があるか
IVRシステムには様々な機能がありますが、全ての機能が自社に必要とは限りません。
本当に必要な機能を見極めた上で、費用対効果の高いサービスを選ぶことが重要です。
例えば以下のような機能は、ツールによって対応状況がまちまちです。
- よくある質問の自動応答(細かい分岐の設定ができない場合もある)
- 予約受付(カレンダー連携機能が必要)
- 注文受付(決済システム連携や個人認証機能が重要)
- 留守番電話の通知(Slackなどとの連携機能が必要)
現在の電話対応フローを明確にして、自社がIVRに必要な機能を洗い出すことが重要です。
また、現在すでに導入している社内連絡ツールやCRMがある場合には、それらとの連携がサポートされているかどうかも確認しましょう。
自動音声の収録や作成をあわせて依頼できるか
自動音声の収録や作成に関するサポート体制も、サービスを選ぶ際の重要なポイントです。
IVRの印象は、音声ガイダンスの質に大きく左右されます。
イチから自社で録音することも可能ですが、慣れない担当者が録音すると、どうしてもぎこちない音声になってしまうことも多いです。
特に収録したい自動音声の数が多い場合には、自動音声の作成工数も比較項目に入れましょう。
例えば次のサービスでは、テキストで応答内容を入力するだけで、自動で音声を生成してくれます。
- Amazon Connect(Amazon)
- Vポータルダイレクト(docomo business)
自動音声の収録や作成が楽なツールであれば、導入もスムーズに進みます。
同時に応対できる架電の数
システムの処理能力も、IVRを選ぶ際の検討項目の一つです。
特に、着信が集中する時間帯や繁忙期に対応できるキャパシティがあるかどうかを確認しましょう。
同時接続数に関しては、特に以下をチェックしてください。
- 現在の最大着信数の1.5〜2倍の処理能力があるか
- 回線障害が起きた時のバックアップ体制はあるか
- 将来的な事業拡大や問い合わせの増加に対応できるか
例えば現在の最大同時着信数が10件なら、15件〜20件までは同時に処理できるシステムを選ぶと安全です。
それ以下のキャパシティしかないシステムだと、同時着信数が対応件数以内であっても、動作が不安定になる場合があります。
また、2倍以上の処理能力があるシステムを導入しても、費用が無駄になってしまうでしょう。
なお、IVRの最大同時着信数は非公開の場合も多いです。
ベンダーが案件に応じて個別でキャパシティを設定しているケースも多いので、気になる場合は事前に担当者へ問い合わせてみてください。
音声認識機能や自然言語処理機能を必要とするか
最新のIVRシステムには、AIを活用した音声認識や自然言語処理機能を搭載したものがあります。
IVRを選ぶ際は、これらの機能が必要かどうかもよく確認しましょう。
音声認識や自然言語処理機能のメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット |
|
デメリット |
|
例えば顧客に高齢者などが多く、ボタンプッシュでの操作が不慣れだと思われる場合は、AIを活用するメリットが大きいです。
一方でToBのビジネスを展開している場合など、電話がかかってくる相手が固定化されている場合は、ボタンプッシュの案内でも十分対応できるかもしれません。
なお、音声認識や自然言語処理の技術急速に進化しており、導入コストも徐々に下がってきています。
最近では予想以上に低コストで導入できるケースも多いので、まずは料金を確かめてみることもおすすめです。
おすすめのIVR(電話自動音声応答システム)10選の人気ランキング
IVRy
運営会社 | 株式会社IVRy |
料金形態 | 月額費用+オプション費用 |
料金(スターター) | 2,980円/月〜 |
料金(スタンダード) | 4,980円/月〜 |
料金(アドバンス) | 7,980円/月〜 |
料金(エンタープライズ) | 要相談 |
IVRyは月額2,980円で導入できるクラウド型の自動音声応答サービスで、自社に必要なオプション機能だけを選んで利用することができます。
専門機器や難しい設定は不要で、管理画面からテキストを入力するだけでAI音声によるガイダンスを作成できるため、機械操作に不慣れな担当者でも比較的簡単に導入を進めることができるでしょう。
録音済み音声を用意できなくても合成音声で案内メッセージを流すことができるため、録音にコストを割きづらい中小企業でも手軽に導入できます。
一番低価格のスタータープランでも15種類の電話分岐ルールを設定でき、キー入力に応じて自動応答メッセージや担当者への転送、SMS自動送信、留守番録音などを柔軟に組み合わせることも可能です。
電話対応の一部または大半を自動化することで、営業時間外の取りこぼし防止や担当者の負担軽減につなげることができるでしょう。
【IVRyの特徴】
- AI音声(合成音声)によるテキスト読み上げガイダンス
- プッシュ操作に応じた音声案内・転送・SMS送信を設定可能
- 最大10パターンの着信フロー(シナリオ)を自由に作成できる
トビラフォン Cloud
運営会社 | トビラシステムズ株式会社 |
料金形態 | 初期費用+月額費用+通話料 |
料金(初期費用) | 33,000円 |
料金(月額費用) | 3,300円/月〜 |
トビラフォン Cloudはオフィスの電話環境をクラウド化できるシステムで、専用アプリを通せば外出時や在宅時でも会社番号で発着信することができます。
また、営業時間外アナウンスやIVRによる架電の振り分け、必要に応じたSMS自動送信などの機能も付いているため、さまざまな電話がかかってくることが想定されている場合でも電話対応業務を効率化できるでしょう。
機器の設置が不要で初期投資を抑えられるクラウド型のため、システムにコストを割きづらい中小企業でも導入しやすく、すでに1,500万人以上のユーザーが利用しています。
【トビラフォン Cloudの特徴】
- スマホに専用アプリを入れるだけで会社の050/IP電話番号を利用可能
- 通話録音とAIによる文字起こし機能を標準搭載
- IVRメニュー設定や自動SMS送信など豊富なクラウドPBX機能
MiiTel Phone
運営会社 | 株式会社RevComm |
料金形態 | 1IDごとの従量課金制 |
料金(初期費用) | 0円 |
料金(月額費用) | 5,980円/ID |
MiiTel Phoneは、クラウド電話システムにAI音声解析を組み合わせたシステムで、IVR機能の他にも自動録音機能や会話コーチング機能などが付いています。
通話の録音と文字起こしを自動で行い、話者の話し方をAIが解析してスコアリングしてくれるため、オペレーターや営業担当者は自らの応対を客観的に振り返って改善することができます。
通話内容や顧客とのやり取りはリアルタイムで記録されてCRMやSFAとも自動連携することができます。
【MiiTel Phoneの特徴】
- 通話内容をすべて自動録音し、AIが音声を文字起こし
- AIが話速や沈黙など通話の特徴を解析して応対品質を見える化
- CRMと連携し、通話履歴や顧客情報を一元管理
DXでんわ
運営会社 | メディアリンク株式会社 |
料金形態 | 架電件数あたりの従量課金制 |
料金(初期費用) | 0円 |
料金(月額費用) | 月100件までは1万円定額。100件以上は1件あたり100円。 |
DXでんわは「電話対応をゼロにする」をコンセプトにした自動応答サービスで、あらかじめ設定した音声ガイダンスに沿って365日24時間電話対応をしてくれるため、人手不足や余計な電話対応コストを大幅に解消することができます。
また、管理画面上でテキストを入力するだけで自動応答メッセージを生成できるため、わざわざ録音をする必要がなく、導入後も柔軟に応対内容を変更できるでしょう。
さらに顧客からの伝言は録音後ただちにAIが文字起こしと要約を行い、担当者へリアルタイムで共有されるため、折り返し対応の迅速化や内容の可視化が可能です。
代表電話の取次ぎや営業電話の対応負荷を大幅に削減できるため、電話対応に追われていた中小企業におすすめできるIVRです。
【DXでんわの特徴】
- IVRによる24時間自動受付対応
- 管理画面でテキスト入力するだけで音声ガイダンスを作成可能
- 録音された伝言メッセージをAIが即座に文字起こし・要約し通知
Zendesk
運営会社 | 株式会社Zendesk |
料金形態 | ユーザーごとの従量課金制 |
料金(初期費用) | 0円 |
料金(月額費用) | 1ユーザーあたり149ドル |
Zendeskはアメリカの企業が運営するIVRシステムで、顧客からの電話・メール・チャット・SNSでの問い合わせを単一の画面で管理でき、中小企業でも漏れなく顧客対応をすることができます。
IVR機能により、着信時に音声ガイダンスを流して各担当者へ転送をしたり、留守番電話の録音メッセージ対応をしたりできます。
また、対応履歴や顧客情報を一元管理し、対応中の問い合わせ状況をわかりやすく表示できるため、架電対応の人数が少なくても複数の問い合わせを捌くことができるでしょう。
【Zendeskの特徴】
- 電話・Webフォーム・チャット・SNSなど複数チャネルの問い合わせを一元管理
- IVRのツリー型転送設定や録音メッセージによる自動応答が可能
- 顧客との全てのやり取りを統合し、問い合わせ対応状況を可視化
IVR(電話自動音声応答システム)の導入検討時によくある質問
IVRシステムの導入を検討する際には、さまざまな疑問が生じるでしょう。
ここでは、カスタマーサポートの担当者からよく寄せられる質問と、その回答をまとめました。
導入前の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
IVRの相場はいくらくらいですか?
IVRサービスの費用は、導入形態や機能によって大きく異なります。
一般的な相場は、以下の通りです。
オンプレミス型 | クラウド型 | |
導入コスト | 300,000円〜 | 0円〜150,000円 |
月額費用 | 30,000円〜500,000円 | 2,000円〜50,000円 |
クラウド型は、着信数に応じて料金が変動するケースが多いです。
導入コストは高くても150,000円程度におさまりますが、6ヶ月〜1年程度の最低利用期間が設定されていることもあるので注意してください。
オンプレミス型は、初期費用が300,000円以上とかなり高額です。
その分キャパシティも大きいため、大規模なコールセンターを運用する場合や、官公庁や病院などでの利用に向いています。
なお、IVRの見積もりを取る際は、「同時着信数」「音声ガイダンス作成費」「保守サポート費」などが、基本料金に含まれているかどうか確認してください。
サービスによっては、これらがオプション料金として扱われ、別途費用が発生することもあります。
IVRとAI自動電話応答システムの違いは何ですか?
IVRとAI自動電話応答システムは、操作方法や応答方法などが異なります。両者の主な違いは、以下の通りです。
IVR | AI自動電話応答システム | |
顧客の操作方法 | ボタンプッシュ | 会話形式での問い合わせ |
応答方法 | あらかじめ録音した自動音声 | その場でAIが生成した合成音声 |
費用 | 安価 | 高額 |
おすすめのケース | 電話対応のフローがシンプル
電話対応の件数が少ない |
複雑な電話対応が発生する
電話対応の件数が多い |
なお、両者を組み合わせたハイブリッド型も多く登場しています。
例えばIVRyやソクコムは、従来のボタン操作と音声認識の両方に対応済みです。
海外からの問い合わせに対応できるIVRはある?
海外からの問い合わせに対応できるIVRサービスも存在します。
代表的なものは、以下の通りです。
サービス名 | 対応言語数 | 特徴 | 月額費用 |
DXでんわ | 約40言語 | 速度や種類をカスタマイズした外国語音声が作成可能 | 10,000円〜 |
Genesys Cloud CX | 多数 | グローバル企業での導入実績が豊富 | 9,000円〜 |
コールコール | 28言語 | 外部ツールとの連携機能が豊富 | 15,000円〜 |
MediaVoice | 約40言語 | オーダーメイドでIVRを構築できる | 10,000円〜 |
海外の顧客がメインでない場合はDX電話やMediaVoice、海外の顧客がメインの場合はGenesys Cloud CXなどがおすすめです。
なお、海外からの問い合わせが多い企業でIVRを導入する場合は、以下の点も意識してみてください。
- 対応言語の種類と品質が十分か?
- 時差を考慮した24時間対応ができるか?
- 国際電話の料金体系はどうなっているか?
IVR(電話自動音声応答システム)|まとめ
IVRについて、基本的な機能やメリットとデメリット、おすすめのランキング10選を紹介しました。
IVRは、電話応対の効率化と顧客満足度の向上を両立させる、極めて便利なツールです。
これまでは「ロボットによる対応は無機質で、顧客満足度が下がるのでは」といった懸念もありましたが、最近では自然な対応ができるIVRも増えています。
IVRを導入する際は、自社の電話応対フローを見極めながら、自社に必要十分な機能が揃ったものを選ぶことが大切です。
また、オプション料金や多言語対応、最大同時接続数なども忘れずに考慮してください。
この記事で紹介した内容が、自社に最適なIVRを選ぶ際の参考になれば幸いです。
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2025年03月25日(火)
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